こんにちは、Gyazoの雇われ忍者です。故郷の父さん母さん、お元気ですか。相変わらず名前はまだありませんが、自分は元気にやっています。とりあえず@gyazo_ninja、見てください。年末には帰ります。
さて、こないだユーザー様訪問シリーズを開始したところですが、今日も新シリーズ!!自分が雇われなのですが、恐怖の(?)「社員面談」シリーズです!!Gyazoに関わる愉快な仲間達をご紹介して参ります〜。
今回はその「雇われ忍者の社員面談シリーズ」記念すべきvol.01!ということで…CTOの増井俊之氏の登場です〜!!
(↑慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスのオシャレなスペースにて。左が増井俊之氏、右下が自分です。)
増井氏はGyazoの発明者で、現在は慶應義塾大学で教鞭を取るかたわら、Gyazoを運営するNota.IncのCTO(最高技術責任者)をしております。先日皆様に公開されたIvySearchの産みの親でもあります!以前はAppleで日本語入力システムを開発したり、なんやかんや…。きっと検索すればたくさん出てきそうなのでこの辺にして、さっそく社員面談、開始!!
幼少期:電子工作、温度計、半田付け…
(↑宝箱から電子工作部品を探し出す大人2名。左は弊社の慶応ボーイ秋山。文系の自分だけだと不安なので一緒に来てくれた。優しい。)
Q.幼少期はどんな感じだったんですか?ごきょうだいは?
幼少期か…!笑 神童と呼ばれたとかの話?いや〜神童なわけないやんか!きょうだいは3つ上の姉がいますけど、いつもいじめられてばっかりで…笑 あ、でも車くれました。
Q.(…どう考えても仲良しじゃないか。)昔から工作のようなのは好きだったんですか?
それは昔から好きでしたね。小学校の頃から半田付けとかやってましたから。真空管とかもね。最近誰かがアメリカで時計作って捕まったとかあったじゃないですか。ああいうことをやってたんですよ。中学のときとか時計作ってました。
(↑文系の自分も一緒に増井教授のレクチャーを受けてみる。)
Q.時計…作るって…どうやって作るんですか?
時計はデジタル回路を作るんですよ。信号、電源の信号って50Hzでしょ。一秒間に50回オンオフする。これをその分周っていって5で割ったり10で割ったりすると、一秒に1回ピコピコするわけやん。それを例えば1秒ごとにカウンターっていう1,2,3,4,ってなる回路があって、それでLEDを並べといて、0のときはこう点いて、1のときにはこう点いてっていうのをやっていくとできるねん。
Q.時計って普通そういう仕組みなんですか?
いや、それだけじゃない。今のは電源の50Hzを使う方式やけど、それやと持ち運ばれへんやん。持ち運ぶには、一定の周波数を出力する部品があるんで、それ自体は1秒間に100万回とかやから、それを100万分の1にすると1秒間に1となるんやけど、え、知らんかった?
慶応ボーイ秋山:知らなかったです。もう挿せば動くみたいなイメージが…
私ら小さい頃はそんなんもちろんできないから、1個1個の、50Hzを5Hzにして、それを1Hzにしてっていうそういう回路を作るんだけど、まぁそういうのはデジタル回路の基本で、周期とかカウンターとか呼んでる。時計なんか一番簡単なんですよ。
Q.一番最初に作った工作物は時計?
いや、もっとボロいもん作りましたね。温度計作りました。温度計ってどうやるかっていうと、もっと簡単なんですよ。温度によって特性が変わる回路ってあって、抵抗が変わる。抵抗っていうのはつまり電気の流れやすさですよね。あ、抵抗知ってます?
忍者:はい!習いました!(自信満々)
電池があって、ランプがあって、こいつが値によって明るくなったり暗くなったりするじゃないですか。それが温度によって変わるものがあるんですよ。でもそれじゃわからないから、メーター、アナログメーターを繋ぐと温度によってかわるから、ここに30とか10とか書いてたら温度計になるでしょ。簡単でしょ?
忍者:(えっ…何が…)ま、まぁそうですね。
でも作ると楽しいねん。時計よりは全然簡単やけど。
Q.温度計は何歳ぐらいのときに作ったんですか?
小学校のときやね。
Q.(どういうことなんだ…)そういう環境がまわりにあったんですか?
親が電気のエンジニアやから、そういう機材はいっぱいあったんよね。
Q.ところでさっき仰ってた真空管…って何やってたんですか…?
真空管っていうのはトランジスタと同じで、弱い振れを大きな振れに変えるっていうのも真空管…って何の話をしてるんや!笑 まぁ真空管っていうのはここにヒーターがあるんですよ…(中略)…そこにランプがあって、ここに3本あるんですよ…(また中略)…鉄板があって、それを温めるとここから電子が出るんですよ…(忍者注:理解不能)…こっちで受けるわけですよ、これで電流が流れるんですよ…(またまた中略)こいつでちょっと電圧をかけてやると…(忍者注:もしや言語が違うのではと疑い始める)…微妙に信号を変えてやるんですよ…(もう聞こえない)
(↑レクチャー中盤。意識を失う。)
と、こういうのが真空管の仕組みで。それを小さくしたのがトランジスタですよ。こっちは半導体ですごい小さいから…(忍者注:何か続いていたと思う)
…とまぁ「猿でもわかるコンピューター講座」でした。ハハハッ
慶応ボーイ秋山:ハハハッ(爽やかな笑い)
(↑レクチャー終盤。生還。猿って賢いんだね…自分もハハハと言いたかったよお母さん…)
中学時代:初自作ラジオで最初に聴こえてきたのは荒井由実さんの「ひこうき雲」
(↑忍者には何だか分からないが、恐らく電子工作少年たちの大好物なのだろう。)
Q.昔ラジオ作ったりされたんですか?
うん、中学のときやってましたよ。真空管はさすがにあんまりなかったけど、トランジスタとか色々繋げてラジオ作って聞いてまして。で、おもしろかったのが、ラジオ初めて作ったときに音聞こえて「お~やった~!」って思ったら、聞こえてきたのが「荒井由実で~す」というのが出てきて、「♪ひこうき雲~」「この曲作ったんです~」って言うてて「ふーん」って聞いてたら、その後異常に有名になって。笑
慶応ボーイ秋山:え、じゃあ自分で作ったラジオで初めて聴いたのが、荒井由実!かっこいい!!(忍者:意外とミーハーだなおい。)
(↑現代の電子工作少年たちの大好物 Raspberry Pi。)
高校時代:マイコンと出会う
(↑ナム・ジュン・パイクの作品じゃないよ。自作パソコンだよ。)
Q.周りの友達は電子工作好きがいっぱいいたんですか?
中学は結構いたんよ。さすがに一人でこんなんやってたら、よっぽど変人やと思うけど、みんなやってたからね!笑
んで高一か高二かに「マイコン」ってのがあるらしいっていうのを知って。それまではコンピューターのコの字も知らんかったしどうやって動いてるかも知らなかったんやけど、こういうもんを並べていくともっといいもんができるって聞いて。そのときにインテルの4004とか8008とか初めてのCPUが出たんですよ。今インテルってあるじゃない?corei5とか、色々言ってるけど全部流れは一緒なんですよ。ほんでそいういうのがあるって聞いたからCPU買ってきて、コンピューター組み立てて。これ(上の写真)がクラブのヤツらと作ったコンピューター。
右側のが私が作ったデジタルディスプレイで、道で拾ってきたテレビ。こいつの信号をうまくやってテレビ信号に変換する、と。キーボードとか売ってへんからその辺で拾ってきた電卓を使って。中身はこんなん(下の写真参照)で、かなりヤバい感じの。もう何百本も線を繋いでいくんよ。今の「自作パソコン」って何か買ってきて挿すだけでしょ。ああいうのは自作とは言わない!笑
Q.配線してナンボっていうことですね。
配線どころか回路も考えなあかんからね。
(↑自作パソコンの中身。ヤバい回路とヤバい配線。ちなみにこのかっこいい写真は『トランジスタ技術(通称トラ技らしい)』の取材の方が撮ってくださったらしい。)
大学以降の進路:コンピューターの世界へ。テレビキャプチャシステムも作った。
(↑スマートフォンで研究室のドアの鍵を開ける増井教授)
次の質問に行こうとしたとき、天井の隅から急に謎の女性の声が…!!!
「キオン、ニジュウヨンド」
忍者:えぇーっ!!!!
慶応ボーイ秋山:あ、この部屋は急にアナウンスが流れるんですよ。
…なんということだ。。恐ろしい部屋に来てしまった。
Q.ずっとこういう業界にいこうと思っていたんですか?
私はそれは趣味やったから、仕事は何しようかっていうのはずっと思ってたんよ。でもどんどん幅が狭くなってきて…笑 例えば大学進学するときは理系にいって、そのとき別に建築でも何でもよかったんですよ。でもやってるうちに、「もうしょうがない、電気行っちゃおう」ってなって。笑 電気行ってるうちに「しょうがない、コンピューターでいいや」ってなって。だからコンピューターとか始めたんは後なんですよ。時計とか作ってるときにコンピューターはなかったからね。マイコンもなかった。よく最近の子と話してたら、小学校の頃からプログラム組んでとかいるやん。昔はウチははんだごてはあったけどパソコンはなかった。オシロスコープもありましたよ、ああいう。俺中学の入試に通ったときにご褒美にオシロスコープ買ってもらってん。そのときはそれが普通やと思ってたんやけど、後から考えると…笑
Q.大学入ってからも電子工作は続けてたんですか?
いや、大学入ってからはコンピューターばっかりやってた。その頃マイコンブームの第一弾とかやったから。最近スティーブジョブズの本とかビルゲイツの本とかあるじゃないですか、あれが70年の終わりぐらいですね。ちょうど、そういうコンピューターを作ったらおもろいぞってみんな気づき始めた頃です。それよりちょっと遅れて私やってたんですよ。だからちょっと出遅れた。あと2,3年早かったらビルゲイツになってたかもしれんのに…
やっぱりコンピュータおもしろいじゃないですか。そこからは普通に子供がコンピュータ与えてもらって楽しいみたいなもんやけど、それでも最初は自分で作ってたからねぇ。あれはみんなで作ったやつやけど、その後自分でもう一台どーんって作ったりとか。おもろかったよ、80年ぐらいやねんけどテレビキャプチャシステムとか作ったり。
Q.テレビキャプチャシステム?!!その頃はビデオデッキとかですか…?
いや、ビデオデッキは持ってなかったけどテレビキャプチャシステムは作ったんよ。どうやるかというと、監視カメラとかのジャンク品が秋葉原に売られてたから、それ買ってきて信号を無理やりデジタルに変換して、メモリ書き出しとかそういうわけわからんことをやってて…(忍者:全然分からない)
慶応ボーイ秋山:じゃあ秋葉はその当時から行ってたんですか?
秋葉は中学の時から行ってたなぁ。
慶応ボーイ秋山:えっでもご出身って…
大阪なんやけど、たまに東京来て。やっぱ秋葉原しか売ってへんもんがあったりしたから、聖地のように…笑
Q.日本橋(大阪)じゃ足りなかったんですね。
足りないですね!笑 その当時からある店もあるしね。秋月は信越電子っていう名前やったけど、ありましたね。まぁ昔はもっと不親切やったけどね。笑
あとはもうデジタルになってしまって、大学なってからはもうパソコン普通に売られるようになってきたからね。
一時期富士通の半導体事業部に勤めてたことがあって、だからICチップの中身とか知ってるのが当たり前かと思ってたけど、そんなことはなくて…笑
こういう一番下のレベルの話と、トランジスタレベルの話と、こういうロジック…時計作るみたいな話と、あとそれを実際どうLSIにするかっていう話も、どうやってコンピューター作るかっていう話もありますよね。で、それらがあればCPUが作れる。で、そのCPUを使ってどうプログラミング言語を作るかっていう話と。それからプログラミング言語でどんなアプリ作るかとか、どんなサーバ作るかっていう話になると、かなりフルスタックになって…笑 だから全部薄いんですけどね、でもなんとなくは知ってますよ。でも今のwebエンジニアがこんなこと知ってるとはあまり思えないから、そういう意味ではちょっと発想が違うかもしれんね。
これからの野望:世界をラクなものにしたい。
(↑説明中に描いてくれたイラスト)
慶應ボーイ秋山:今やられているお仕事は、上位レイヤーのことが多いじゃないですか。どうして昔はこういう電子工作がお好きだったんですか?
いや、昔はコンピューターなんかなかったからね。電子工作が好きやったのは、楽しそうじゃないですか、こんなん。今はそっち(上位レイヤー)のほうがおもしろいけどね。昔そんなんなかった時代には、電子工作がおもしろいじゃないですか。だってこれでランプついたとか、それだけでも感動するやん。温度計できるだけでも全然おもしろいよ!温度変わったらメーターが振れるだけやけど、それでも楽しいよ。きれいに作ったり箱に凝ったりしてさ。やってみたら?コンピューターなくても温度計は作れるんですよ。今はやっぱり全部コンピューターでやっちゃおうとしちゃうよね。私もそうやし、若い人はもっとそうやと思うし。いいことやと思うけどね、そこにもっと、どうやってスマートにやるかっていうのを考えるのとかね。
Q.ズバリ、これから世界をどうしていきたいと思っていますか?
それはハッキリしてて、あんまりコンピューターコンピューターしてるのが嫌で、例えばさっきの「電気が消えました」的なことを、ここでやってるだけやとネタやけど、でもあれネット繋がってるから外からも見れるんですよ。ああいうところから、今ここに人がいるかどうか分かるんですよね。遠隔で鍵を開けるとかね。
Q.ラクにしたいということでしょうか?
そうですよ、世界をラクにしたい。「おもしろくする」のと「ラクにする」のやったら、どちらかというと「ラクにしたい」。さっきのやつみたいに何も考えないでやるっていう。
要するに「ドア開けろ」と言ってドアが開いてほしいんだけど、今のインターネットのプロトコルっていうのは、ドメインとか指定するよね。masui.ナントカ/ナントカ/door/openとかそういう感じになるやん。それはよくある。ところがそれやと、インターネットのドメインともの凄く結び付かないとダメで、「なんとなく」開けてくれっていうのは言いづらいですよね。
例えば何かできる人が2人いました、と。で、まあクラウドがあって何かが繋がってる、と。で、別にどっちにやってもらっても良いとする。こっちに私がいて、「ちょっとこれお願い」って言うやん。こっちはmasui.org、もう一つがpitecan.comとかやとするやん。それ今やとmasui.org/door/openとかにしてるけど、でも実はもう一つの方でも同じことができる場合どうするのか、とか、名前が変わったらどうするんかとか。masui.orgなくなりましたってなったらプログラム書き直しじゃないですか。そういうのがイヤやから、こいつがここに送るのは「door open」とこれしか送らない。こいつは「door???」でずっと待ってるわけ。で”open”が来たら「あ、openって言ったな」というわけで開けるわけ。ということは間接的にやってるんで、こいつ(masui.org)の名前知らなくてもできるんです。ここに言ったらやってくれると。ということはここで「door open」と言えば開くということだけを知ってれば良いので、URLとか知らなくて良いでしょ。だからパソコンであろうがスマホであろうが全然違うデバイスであろうがかまへんのですよ、こいつの実装を知らなくてもね。まぁそういう感じで今やってるんですよ。
Q.なんでそんなにラクにしたいんですか?
そりゃ私が横着だからですよ。笑 でもそれで色々組み合わせたりしたら、身体の動かない人も使えたりとか、そういうことにもなるやん。横着だけじゃなくて、そういう社会的要請にも応えられるんですよ。普通は入力システムと出力システムは同じので作らなあかんことが多いねんけど、これやと全然どこで何が動いたっていいことになるからね。そういう便利なものを作りたいね。
おもちゃ箱のように色々なものが飛び出したり、温度を知らせてくれる女性が住み着いていたり(ちょっと違うかもしれない)、最初はマッドサイエンティストなのかとビクビクしましたが、増井教授は、誰にとっても世界をラクなものにしたいと頑張る心優しい発明家おじさんでした!
ということで、取材終了〜!終了後はピアノとギターの演奏をしてくれました!いやぁ〜楽しかった!また温度を知らせてくれる姿の見えないお姉さんに会いに研究室行きます!
そして今回は尺の都合で御紹介できませんでしたが、Gyazoの楽しい使い方も色々と教えてもらいました!追って紹介させて頂きますね。
また今後も社員面談していきますよ〜。今回出てくれた慶応ボーイ秋山も追って登場します!お楽しみに!
(雇われ忍者)